日野自動車の不正問題(3)

前回は、主語を変えることで言い出しにくいことを言おう、という提案をした。

今回は日野自動車が再生するために必要なことを考えてみたい。

不正問題の原因調査にあたった特別調査委員会がまとめた調査報告書には以下の記述がある。

少なからぬ従業員が、日野の抱える問題点を認識していたのに、日野は会社として、本問題の発生を防ぐことも、早期に発見することもできなかった。当委員会は、この点を深掘りしていくことにより、下記の 3 つを本問題の真因と考えるに至った。

真因①みんなで車をつくっていないこと

真因②世の中の変化に取り残されていること

真因③業務をマネジメントする仕組みが軽視されていたこと

日野自動車特別調査委員会 調査報告書(要約版) P.36 第6章 本問題の真因分析

まず最初の部分に異を唱えたい。会社(=経営陣)も問題を認識してたでしょ?

だって、同じような環境やポジションを経験してきたはずで、その当時は自分たちも同じように悩んだり憤ったりしたはず。

この人たちは、問題の発生を防ぐことも、早期発見することもできたはずなんだよ。機会も権限もあったはずなんだよ。それをしないのは、ただの職務怠慢だ。

日野だけじゃなくて、このケースは非常に多いと思う。

『自分も苦労したんだよ。』『昔はもっとひどくてね・・・』

そんな老人の苦労話を聞きたいんじゃない。我々の現状を変えてほしいんだよ。

じゃあ、なんで上の人たちは現状を変えてくれないのか?

そんな労力をかけなくてもゴールできるから、である。立派な働かないおじさんの完成。

この状況を変えるために提言したいのは、上司の査定を部下が決めるシステムである。

今の組織構造ってすごくゆがんでいると思っていて、上司に権限が集中しすぎているんじゃないかと思うのです。

仕事の割り振りや人事権を上司が握っていて、さらに、査定の権利も上司側が握っている。

こんなにゆがんだ組織構造だと、上司は部下の声を聴かないし、部下も上司に諫言するなんてことはなく、結果として抑止力が働かずに組織が腐っていくのではないかと。

これを是正するには、上司の査定を部下が決めてやればいいんじゃないだろうか?

そうすると上司は部下の諫言に耳を傾けるし、部下との会話も真剣になされるのではないだろうか?

最近だと1on1やらキャリアの会話やらで、個人個人に向き合ったマネジメントが必要だとされている。

その本気度を測るには、1on1の相手方に査定してもらうしかない。上司の上司なんて何にもわかってないんだから。

パワハラ体質、体育会系、旧態依然、こういう組織は大体権限集中が諸悪の根源だろう。

それを打破するための下剋上査定システム、日野だけじゃなく一般組織にも有効だと思うので、だれか取り入れてくれる人はいないだろうか。

3回にわたって日野自動車の不正問題について考えてきたが、個人的には日野自動車には立ち直ってもらいたい。

そのためには厳しい目で日野自動車を見続けなければいけないし、中の人たちが変わる努力をしなければいけない。

でなければ不正が続く体質になって本当に取り返しがつかなくなるから。。。というか、これまで不正問題を起こしてきた大企業は体質改善に失敗しているケースが多い気がする。。。

頑張れ、日野自動車。応援してるぞ。

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