研究といっても化学、材料、バイオ、宇宙など色んな分野があり、プレイヤーも様々である。
プレイヤーの目的も色々で、近々の課題を解決したい、3年後の製品化を目指した課題抽出、10年先を見越した要素研究、明確な目的がない原理解明を目指した研究、などである。
企業が抱える研究所と大学などの研究機関では、この目的が一番大きな違いである。
企業の研究所は、その企業のビジネスを回すことが主目的なので、どうしても足元の課題への対応が多くなる。
一方、大学などの研究機関の場合は、もっと先を見越した研究を行うことが多い。つまり、企業と大学では成果を出すまでの時間軸が異なるのである。
(もちろん企業でも10年先を見越した要素研究をやっているところもあるし、大学でもスピンアウトしてベンチャー企業をつくるような応用研究もある。)
特に企業研究所への就職を考えている学生には、この違いをぜひ意識してもらいたい。
企業の研究所に勤める筆者は、これまで何人もの人間が『こんな環境を想像していなかった』『こんなことをやりたいんじゃない』といって退職し、大学に戻っていくのを見てきた。
”こんなはずじゃない” というのは ”大学のような要素研究をしたい” ということなのだろう。
就職するときにきちんとマッチングできなかったことが、このすれ違いを生んでいるのだろう。
企業側が説明責任を果たしていない場合もあるだろうし、学生側が勘違いしている可能性もある。
いずれにしてもきちんとマッチングできないと、学生側は退職–>再就職というステップを踏まなければいけないし、企業側もリソース配分の計画が狂ってしまい修正しなければならず、お互い不幸になってしまう。
せっかく高い専門性を身に着けているのである。自分が一番輝ける場所かどうかを事前に見極めて、良い研究成果を出してほしい。
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